阪南チーズ染晒協同組合

染色とは、染料で繊維を染めることでありますが、その方法として直接染料染め、反応染料染め、、分散染料染め、スレン染料染め、硫化染め、藍染め、など様々な染色方法があります。

また、染料にも天然染料と合成染料があり、天然染料とは動物や植物から抽出した天然色素でつくられたもので、それに対し合成染料とは、主に石油を原料とし化学的に調合され作られたものをいいます。

現代では、天然染料は高価な染料でコスト面が合わないという理由で、多くの染色工場は合成染料を使っています。また、合成染料は、天然染料にはない色が作り出せるので、ファッションやインテリアプロダクトから自動車や新幹線のシートまで色々な製品の染色にも活用されています。

合成染料の種類は何千何万とありますが、応用面で分類しますと基本的に10種類ほどに分けられます。ここではその10種類の合成染料の特性をわかりやすく説明したいと思います。


1)直接染料(Direct dyes)

その名の通り、面倒なプロセスが要らず、水に溶かして木綿や絹を直接染めることができます。その代わり、汗・洗濯・日光などに対する染色堅牢度が低く、色の鮮やかさにおいても他の染料より劣ります。

2)酸性染料(Acid dyes)

絹、羊毛などの蛋白繊維や、ナイロンを染めます。 水に溶けてそのままの色で染まりますが、酸性にして染めるのでacidという名前が付いています。しかし、分子が大きくなった染料はミーリングタイプといって、ほとんど酸を必要としません。 鮮麗な色もあり、染色堅牢度は充分とは言えませんが、1シーズンの外出着用には充分です。 

3)反応染料(Reactive dyes )

現在、木綿やレーヨンを染めるのにもっとも多く利用されている染料で多くの種類が開発されています。その名の通り、繊維分子と化学結合するので堅牢度もよく、反応性の高いものは低温条件(50℃程度)で、低いものは高温条件で染める。 また、反応を助けるためにアルカリ剤を加える必要があります。。
この染料は酸性染料の分子に、反応基をつなげたような構造をしているので、酸性染料に匹敵した鮮麗な色が選べます。

4)塩基性染料(Basic dyes)、カチオン染料(Cationic dyes)

分子の色素本体はカチオン(陽イオン)です。。 したがって、酸性染料などとは反対に、絹・羊毛分子の陰イオンと染料の陽イオンが結合します。 非常に鮮麗な染料で、水に溶けてそのままの色に染まりますが、クラシックなbasic dyeは、染色堅牢度がきわめて低くなります。 

5)建染染料(Vat dyes)

バット染料、あるいはスレン染料とも呼ばれています。 vatは藍染めの瓶(かめ)を意味しており、藍の建て染めのように、アルカリ性の還元浴で溶かすことにより染めることのできる染料で、戦前のドイツで開発されたインダンスレンは最高級の堅牢度を誇っています。今では各国で生産され、木綿などのセルロース繊維を染めるのに使われています。強いアルカリと、強い還元剤を用いることで染料分子は一旦還元構造となり溶解して色を変ますが、その構造のまま吸収させると、後で空気酸化により本来の発色に戻り、不溶性の堅牢な染色となります。還元時の色変化は、まるで四季の移り変わりのようです。

6)硫化染料(Sulpher dyes)

染料の化学構造に多くの硫黄原子を含んでおり、多量の硫化ナトリウムを加えたアルカリ性還元浴で染める点では、建染染料と似ており、それに次ぐ堅牢性がありますが、塩素漂白に弱く、染めてから日が経つと染料の硫黄分が酸化して硫酸に変わり、セルロ−ス繊維を脆化させる欠点があります。

7)ナフトール染料(Naphthol dyes または Azoic dyes)

染料という名が付いていますが、アゾ色素をつくる一歩手前の成分であるナフトールを、まず、アルカリに溶かして繊維に吸収させます。 その繊維を芳香族アミンの亜硝酸塩の液に入れると両成分が繊維上で結合し、アゾ色素が生成して顕色します。 木綿に対し独特の深味のある、赤を中心とした色を染める。したがって、ナフトール属を下漬け剤、芳香族アミン類を顕色剤といい、その組み合わせで色が決まります。

8)媒染染料(Mordant dyes)

天然染料の茜や紫のように、染める前か、あるいは後に金属塩で媒染し、色素に金属イオンを導入することが必要な染料です。分子の化学構造が酸性染料を母体としているものを特に酸性媒染染料(acid mordant dye)、あるいはクロム染料ともいいます。クロム染料の名は、染めた後にクロム塩(重クロム酸カリ)を使い、酸性高温下で媒染するため。 羊毛の濃色染め向きで、染色堅牢度がよく、数年間使用するコート、オーバー地の染色に向いています。

9)金属錯塩染料(Metal complex dyes)

媒染染料は染色の前後に金属塩による媒染をしなければなりませんが、その工程を省くために、媒染染料の分子に金属原子を封じ込めた構造をとる染料が開発されまし。分子が大きくなって水に馴染みにくいため、むら染めになりやすいが、堅牢度が媒染染料に匹敵するので利用が多い。酸性染料で染める要領で緩染用の助剤を加えて染めます。
近頃は反応染料などにも堅牢度の向上を目的とした含金属タイプの染料が増えています。

10)分散染料(Dispersed dyes)

完全には溶解せず、分散状態のまま染めるのでこの名が付いています。 合成繊維は一般に水に馴染まない油性のものが多いので、水に馴染みにくいこの種の染料と相性がよく、染まりやすい。
アセテート繊維はセルロースを原料とする半合成繊維ですが、木綿などのセルロース系繊維用の染料では染まらなかったために開発されたもので、温度80℃ぐらいで直接染めます。
合成繊維は高温で染めるが、とくにポリエステル用に多くの種類が開発され、120℃くらいの高温高圧で染めます。